SSSTCでは雨水を有効活用しています。2024年度は、405m3の雨水を回収しました(同期間のSSSTCでの水使用量の約1.2%に相当)。回収した雨水は空調設備の冷却水などに再利用しています。
水資源の有効活用
水資源に関する考え方
キオクシアグループは、キオクシアグループ環境方針のもと、事業継続と水資源の保護のため、法規制より厳しい自主基準を設けて排水時の環境負荷低減や水のリサイクルに努めています。
世界的に水不足が懸念される中で、安定した操業と水資源の保護の両立は、当社グループの優先課題の一つです。水資源は地域によって需給バランスや取水可能な量、水質が異なります。そのため、当社グループは、短期および中長期視点で地域ごとの水に関するリスクを把握し、あらゆる側面で環境影響評価を実施することで、適正な水管理に努めています。渇水や浸水害などの外部環境による事業への影響や、当社グループの操業によって地域の水資源に及ぼす影響にも配慮しています。
水のマネジメント体制
キオクシアグループは、水に関する取り組みや指標をサステナビリティ経営における重要課題の一つに位置づけています。代表取締役社長が議長を務めるサステナビリティ戦略会議では、水関連を含むサステナビリティ戦略・方針の策定および施策達成度の確認を行った上で、最終的には取締役会に諮っています。
サステナビリティ戦略会議で決定された水関連を含むサステナビリティ戦略・方針に基づき、サステナビリティ担当執行役員が委員長を務めるサステナビリティ推進委員会において、KPI*の策定や討議を行っています。
環境担当役員を中心に環境について審議する環境マネジメントレビューでは、水にかかわるリスクと機会を考慮した社会や法令の動向、環境中期計画も検討し、事業への影響、法令遵守およびKPIの達成状況を検証しています。
これらの会議体における検討課題には、工場新設時の水使用量を低減する設備の導入や、BCM(Business Continuity Management:事業継続マネジメント)活動によるリスク管理を含みます。BCM方針のもと、河川氾濫や大型台風、渇水などの水リスクについてもアセスメントを実施し、事業全体のリスク管理を強化することで災害発生時の速やかな復旧を目指しています。また、国内外の規制や動向について専門知識を持った従業員が調査・モニタリングを実施し、変化する水環境に対するリスクを低減しています。
- KPI(Key Performance Indicator):重要業績評価指標
水リスクの測定
水資源は、地域によって需給バランスや取水可能な量、水質が大きく異なります。キオクシアグループは、世界資源研究所(WRI)による「Aqueduct」や世界自然保護基金(WWF)による「Water Risk Filter」などの専門ツールを用いて、国内外の製造事業場の現在および将来の水関連リスクについて社外専門家による評価を実施しています。本評価を通じて、当社グループでは2040年までの水ストレスの変動傾向や季節による水供給変化量の変動などのリスクを分析し、事業活動への影響を把握するように努めています。
当社グループの製造事業場(キオクシア(株)四日市工場、キオクシア岩手(株)、Solid State Storage Technology Corporation(以下、SSSTC))において、2040年までの水需給リスク(季節変化、干ばつ頻度、水貯留力、水源地保護状況)、水災リスク(洪水、土砂災害など)、水質汚濁に対する流域脆弱性(公衆衛生や生態系リスク)などを調査した結果、事業に対して財務的もしくは戦略的に実質的な影響を与えうる水リスクにはさらされていないことが確認されました。
水資源に関する目標と実績
キオクシアグループは、取水量について、2017年度を基準とした製造時における製品の容量当たりの改善率で削減目標を設定し、PDCAサイクルで管理しています。
2024年度の目標48.5%以下に対して、実績は40.9%で目標を達成しました。
今後も、節水とリサイクル促進の両面から、取水の削減目標を達成すべく活動を進めていきます。
排水の性質ごとの分別集水とリサイクル
国内製造事業場では、水と資源の保全をコンセプトに工場の企画と設計を行っています。製造工程からの排水管は、含有物質ごとに最大13系統に分かれて回収できるように敷設されています。
リサイクル可能な排水に関しては、回収排水処理で含有物質ごとに適切な処理を行った後に、冷却塔やスクラバー(排ガス洗浄装置)などで再利用しています。国内製造事業場における2024年度の水リサイクル実績は、約37百万m3(全水使用量の約57%相当)でした。
さらに、可能な範囲で排水から資源を回収しています。回収排水処理で取り出した一部の物質は、外部協力会社に販売後、再資源化されています。
また、含有物質ごとに排水管が分かれているため、水リサイクルや排水の処理に必要な薬品・電力の使用を最小限にすることが可能です。
製造工程での水使用量削減に関する取り組みも行っています。詳細は、「環境負荷低減の取り組み」をご参照ください。
排水の監視強化
国内グループ会社の製造事業場では、排水はその性状に応じて段階的かつ適切に処理したあと、水質確認を行った上で排出しています。操業に伴う大気や河川への影響を最小限に抑えるため、法規制よりも厳しい自主基準を設けて排水を監視しています。
化学的酸素要求量(COD)、浮遊物質量(SS)、フッ素(F)、水素イオン指数(pH)を含む法規制対象物質については24時間連続で自動監視しています。管理強化のため、法規制対象外の項目についても、国内グループ会社の製造事業場構内に設置した分析センターにおいて、サンプリングによる自主管理を行っており、年間約47,800件の水に関する分析を行っています。
2024年度も、キオクシアグループとして排水に関する行政からの罰金・処罰はありませんでした。
河川への排水におけるBOD(生物化学的酸素要求量)
濃度管理値(キオクシア(株)四日市工場)
雨水の有効活用
適切な水量を目指す
国内グループ会社の製造事業場では、ウエハーの洗浄などに使用される超純水について、未使用分を回収して再循環させる施策を実施しています。さらに、製造工程内での水使用量の変化に合わせて段階的に流量を調整することで、一定の水質と適切な水量を維持しています。