気候変動・エネルギーマネジメント

気候変動・エネルギーマネジメントの方針

キオクシアグループは、気候変動への取り組みを経営の最重要課題の一つと位置付け、事業活動と製品のライフサイクルの両面で、使用するエネルギーと温室効果ガス排出の削減を目指しています。

製造事業場での温室効果ガス排出量については、製造時に排出される温室効果係数の高いPFCガスを除害する装置を対象設備に100%設置するとともに、日本国内の「エネルギーの使用の合理化等に関する法律」(以下「省エネ法」)に基づき、省エネルギー活動で削減する方針のもと、毎年、前年度の総エネルギー使用量(SCOPE2:事業活動による間接排出)の1%を削減する目標を設定しています。

また2020年度は、2040年度までに電力使用における再生可能エネルギーの比率を100%とする長期目標を策定しました。

製品開発においては、エネルギーの高効率化を図るとともに、サプライヤーにおける温室効果ガス排出量の把握や、それらの削減への関与を進めることで、間接的な温室効果ガス排出削減にも取り組んでいます。

気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)への賛同

キオクシアグループは2021年6月に、TCFD*1最終報告書(TCFD提言)への賛同を表明しました。事業における気候関連の影響度を的確に把握し、ステークホルダーへ情報開示し、双方の理解を深めることが、企業の持続的な成長に不可欠と考え、TCFDに沿った取り組みと情報開示を積極的に進めています。

  • *1 TCFD:金融安定理事会(FSB)が設置した気候関連財務方法開示タスクフォース。気候関連のリスクと機会に関する情報開示を推進する取り組み。

ガバナンス

気候変動に関する当社の戦略・方針策定および達成度の確認は、代表取締役社長が議長を務めるサステナビリティ戦略会議において、執行役員により審議した上で、最終的には取締役会に諮っています。サステナビリティ戦略会議で策定された戦略・方針に基づき、サステナビリティ担当執行役員を委員長とするサステナビリティ推進委員会において、重要テーマやKPIの策定等を討議しています。また、本会議体の下部には、重要なサステナビリティ課題に取り組むタスクフォースを設置し、進捗の報告や方向性の確認を行っています。2021年上期は、TCFD提言に基づいた「気候関連リスクと機会の分析」や「シナリオ分析」について検討しました。

気候関連リスクと機会

キオクシアグループは、国際エネルギー機関(IEA)等が想定する2℃シナリオ(2DS)*2で、2030年外部環境のリスクと機会を下表の通り評価しています。炭素税導入や省エネ基準の厳格化、高炭素製品の需要減、設備投資や研究開発費が増加するなどの移行リスクと、気候変動や異常気象、水不足等といった物理的リスクを把握しています。これらのリスクに対して、キオクシアグループでは対応を進めています。機会としては、気候変動への社会的関心が高まり、低炭素・低消費電力な製品の需要拡大を想定しています。

  • *2 2℃シナリオ、4℃シナリオとは、IEA等から発行される気候関連シナリオの俗称で、各シナリオが示す温度に気温上昇を抑えるために必要な経済施策、またその温度上昇時に想定される環境被害などを示している。

※表を左右にスクロールすることができます。

【移行リスク】低炭素経済への「移行」に関するリスク
属性 財務インパクト 影響、背景
政策・法規制 炭素税導入に伴う、事業に係る電力コストの増加 2030年度まで電力消費量の伸長が見込まれ、炭素税等に係る影響がある。
化石燃料コスト増加に伴う、資材・輸送費の高騰 クリーンルーム建屋と設備に継続投資しており、資材費高騰の影響がある。
新施設建設時における、高炭素集約度建材費の増加 クリーンルーム建屋に継続投資している。
新棟建設時のPFCガス*3除害装置導入費 新棟建設時にPFCガス除害装置も同時に設置するため、初期投資が発生する。
再生可能エネルギー設備(太陽光発電、蓄電池)の導入に係るコストの発生 初期投資および運用コストが発生する。
技術 顧客要請や行政規制などへの対応に伴う研究開発費の増加 顧客要求仕様変化に伴う研究開発費用の増加が見込まれる。
再生可能エネルギー拡大による電力網の不安定化 再生可能エネルギーは自然条件に影響を受ける。安定かつ良質な電気供給が受けられない場合や再生可能エネルギーをカバーする送配電網への設備投資が進まない場合は操業への影響がある。
市場 顧客の環境意識の高まりに伴う、GHG排出量の削減要求および取引への影響 顧客からの再生可能エネルギーの要求は高まっており、取引への影響がある。
評判(レピュテーション) ステークホルダーへの対応不足によるレピュテーションリスクおよび資金調達リスク ステークホルダー(顧客、ESG投資家など)から要求されるレベルのESG対応が出来ない場合は、当社の評価、資金調達、販売等に影響がある。
【物理的リスク】気候変動による「物理的」変化に関するリスク
属性 財務インパクト 影響、背景
慢性 気温上昇による空調コストの増加 空調は当社電力使用量の相当部分を占めている。
十分な水量が得られないことによる操業停止・売上減少 最悪は操業停止が想定される。
急性 異常気象の激甚化(浸水被害)による操業停止・売上減少 台風、ゲリラ豪雨等に起因した施設浸水による操業停止が想定される。

※表を左右にスクロールすることができます。

【移行機会】低炭素経済への「移行」に関する機会
属性 財務インパクト 影響、背景
エネルギー源 再生可能エネルギー調達の推進によるGHG排出量削減およびレピュテーション向上 顧客からの再生可能エネルギー要求は年々高まっており、取引継続・拡大への契機となり得る。
再生可能エネルギー施設建設や再生可能エネルギー電力証書調達における、政府支援(補助金、減税等)の獲得 再生可能エネルギー活用の積極的な推進が可能となる。
資源効率 効率的な輸送システム構築や資源効率の高い資材調達によるコスト削減 通常の調達のみならず、クリーンルーム建屋と設備にも継続投資している。
生産設備の省電力化によるコスト削減 2030年度までには電力消費量の伸長が見込まれるため、影響がある。
製品およびサービス 情報インフラに貢献する低消費電力・低炭素商品やサービスの開発によるビジネスチャンス拡大 顧客製品における省エネルギーの要求が高まっている。
市場 GHG排出量の削減要望への対応および取引への好影響 顧客からの再生可能エネルギー調達や製造時の省エネルギー化の要望が強まっている。
BCP*4強化による顧客の信頼度向上およびブランド力強化、企業価値向上 気候変動に起因したサプライチェーンへの影響は顧客にとって重大な関心事である。BCP強化により、信頼度向上が見込まれる。
ESGガイドラインに沿った活動強化による企業価値向上と資金調達力強化 国内、海外でのESG投資比率は高まっており、投資家もESGをより重視するようになっている。
  • *3 PFCガス:半導体製造時に使用する代替フロンガス。温室効果係数が高い。
  • *4 BCP: Business Continuity Planの略で事業継続計画

シナリオ分析

キオクシアグループでは、IEAの定める2℃シナリオと4℃シナリオ*2の2つを使用して、気候変動が当社事業にもたらす影響について、ステークスホルダーや事業ごとにインパクト分析を行いました。2℃シナリオにおいては、政府による制度整備・規制強化および顧客等のステークホルダーの志向の変化の影響が大きいと考えられます。例えば、工場の低炭素化による費用上昇や低炭素、低消費電力対応不足による販売影響リスクを把握しました。4℃シナリオでは、材料価格高騰や自社拠点への物理的リスクの顕在化も見込まれます。これらのリスクに対して、キオクシアグループでは、省エネルギー・再生エネルギー施策の積極的採用や低炭素型製品等ニーズを捉えた製品開発を進めています。

戦略・指標・目標

2020年策定の「環境方針」において、製品を通した社会の環境負荷削減や温暖化ガス排出量削減による地球温暖化防止への貢献を定めています。前述の通り、エネルギー使用量 (SCOPE2)に関しては、前年度に排出した量のうち1%を削減する目標を掲げて、省エネルギー活動を推進しています。
また、2040年度までに再生可能エネルギーの使用比率を100%とする長期目標を設定しています。
(詳細は、後述の気候変動関連の目標と実績をご覧ください。)

当社全体の温室効果ガス排出実績(2020年度)

キオクシアの事業活動における2020年度の温室効果ガス(SCOPE1,2,3:CO2換算)排出量は下表のとおりです。
(ハイフン部は対象外、製品使用時排出は未算出)

SCOPE1

2020年度CO2排出量(t-CO2

算定枠組み

651,900

事業者自らによる温室効果ガス排出量

SCOPE2

2020年度CO2排出量(t-CO2

算定枠組み

1,713,400

他者から供給された電気・熱・蒸気等の使用に伴う間接排出量

SCOPE3(自社のサプライチェーンでの排出(SCOPE 1,2以外))

※表を左右にスクロールすることができます

カテゴリー区分

2020年度CO2排出量
(t-CO2

算定枠組み

1. 購入した製品・サービス

3,421,396

原材料、部品、容器などが製造されるまでの活動に伴う排出

2. 資本財

930,391

自社の資本財の建設・製造に伴う排出

3. SCOPE1,2に含まれない燃料及びエネルギー関連活動

160,292

調達燃料・電力の上流工程に伴う排出

4. 輸送・配送(上流)

164

国内の製品物流、生産に係る物流の排出合計(サプライヤーから自社への物流や、海外での製品物流等は除く)

5. 事業活動から出る廃棄物

17,391

自社で発生した廃棄物の処理に係る排出

6. 出張

56

従業員の出張に伴う排出

7. 雇用者の通勤

14,341

従業員が通勤する際の移動に伴う排出

8. リース資産(上流)

9. 輸送・配送(下流)

10. 販売した製品の加工

11. 販売した製品の使用

12. 販売した製品の廃棄

13. リース資産(下流)

14. フランチャイズ

15. 投資

SCOPE3 (Total)

4,544,031

2020年度のSCOPE1排出内訳

2020年度のSCOPE1排出内訳 2020年度のSCOPE1排出内訳

事業におけるエネルギー使用と温室効果ガス排出

社会における情報データ量の飛躍的な増加に応えるため、当社は計画的に設備投資を行い、必要な生産能力を確保しています。これに伴いエネルギー使用量は増加傾向に有ります。
当社のエネルギー使用量と温室効果ガス(SCOPE1+2)の排出量推移は下表の通りです。

エネルギー使用量推移(MWh)

エネルギー使用量推移(MWh)

Scope1 + 2 排出量推移(t-CO2)

Scope1 + 2 排出量推移(t-CO2)

気候変動への適応の取り組み

キオクシアは、「製品開発」「サプライチェーン」「製造事業場での運用」のそれぞれの側面で、気候変動への対応を進めています。

「製品開発」の側面

ストレージ製品の市場では、低消費電力型の製品のニーズが非常に高まっており、これらの製品開発により供給の拡大を見込むことができます。当社は経営の最重要課題として、省エネルギー性能を向上させる高集積化技術の研究開発に取り組んでいます。

「サプライチェーン」の側面

地球温暖化など気候変動の進行に伴い、洪水や大型台風などの発生により、部材メーカーの生産や物流が影響を受け、障害を来たすリスクが年々顕在化しています。当社ではBCP委員会を設置し、様々な気候変動関連のリスクを想定し、未然防止や速やかな事後対応に向けた対策を進めています。

「製造事業場での運用」の側面

当社は温室効果係数の高いPFCガスの除害装置の設置を積極的に進めており、2020年には96台導入することで、年約36万t-CO2の温室効果ガス排出削減の効果を得ました。
2011年以降PFCガス除害装置を対象設備に100%設置しており、2017年度以降の除害効果は累計305万t-CO2になります。

SCOPE1排出量におけるPFC除害装置の貢献効果(2017年度からの累積:t-CO2

また、キオクシアの製造事業場では、前述の通り省エネ法に基づき、前年度の総エネルギー使用量(SCOPE2)の1%を削減する目標を掲げています。2020年度は、各種省エネルギー活動により、目標17,686t-CO2/年以上の削減に対して実績は19,691t-CO2/年の削減効果となり、目標を達成しました。過去10年間の省エネルギー活動による削減効果は、累積で18万t-CO2になります。

さらに、2040年度までに再生可能エネルギーの使用比率を100%とする当社の目標達成を目指して、業界団体への参画などを通じて情報収集や政府への提言を進めていきます。本目標達成に向けた最初のステップとして、開発・テストセンターなどへの再生可能エネルギー由来の電力導入や、工場内への再生可能エネルギー設備の設置を推進する予定です。

気候変動に関する社外イニシアチブへの参加

キオクシアは、電子機器産業の業界団体である電子情報技術産業協会(JEITA)の環境部会の会員として、エネルギー・温暖化問題における課題解決に向けた取り組みを行っています。2020年度からは、脱炭素社会を目指す企業グループであるJCLP(日本気候リーダーズ・パートナーシップ)の賛助会員になり、パリ協定における1.5℃目標実現に向けた施策や行政への提言の検討にも参加しています。さらに、2021年にTCFDへの賛同を表明しました。