社会への製品提供を通じた環境貢献
キオクシアグループの提供するフラッシュメモリやSSDは、多種多様なアプリケーションに組み込まれて社会で活用されています。当社グループは、製品に使用する化学物質の適切な管理や、お客様ご使用時のエネルギー効率に貢献する製品の提供を含め、製品ライフサイクルのあらゆるステージで環境負荷低減に努めています。
近年、AIやIoT、自動運転化の流れが加速する中で、フラッシュメモリやSSD製品の大容量化および高速化へのニーズが高まっています。当社グループはフラッシュメモリの高集積技術開発による大容量化を推進することにより、容量あたりのCO2排出量削減に取り組んでいます。具体的には、製造時には製品の容量あたりの使用電力量や使用材料の低減、製品使用時には1GB(ギガバイト)処理あたりの消費エネルギー効率を向上しています。
また、今後の普及が期待される第5世代移動通信システム(5G)においても、従来よりも高速で大容量のデバイスが必要になることが見込まれ、これにともなう電力消費の増加が懸念されています。そのため、高いエネルギー効率を誇る当社グループの大容量フラッシュメモリや低レイテンシSSD(通信の遅延時間が短い)の使用が、幅広い分野で拡大すると想定しています。当社グループは低炭素社会の実現に貢献するため、これからも技術開発によるエネルギー効率向上と大容量化を最重要課題として推進していきます。
キオクシアグループ製品の貢献分野例


製品のエネルギー効率改善目標
キオクシアグループは、1987年に「NAND型フラッシュメモリ」を、2007年には3次元フラッシュメモリ技術を、それぞれ世界で初めて発表しました。
私たちは、これらの高い技術力で製品のエネルギー効率の向上をより一層進めてまいります。具体的には、2017年度を基準*1として製品の1GB処理あたりのエネルギー消費量を2025年度までに50%削減するという高い目標を掲げています。
2021年度は、NAND型フラッシュメモリの高集積化および高速化、自社における最適なコントローラの設計開発により、1GB処理あたりのエネルギー消費量を2017年度比で約19%削減することに成功し、2025年度までの目標達成に向けて大きく前進しています。
- *1 2017年に株式会社東芝のメモリ事業を会社分割により承継して東芝メモリ株式会社として事業を開始し、2019年にキオクシア株式会社へ社名変更しました。
エネルギー効率の改善


製品使用時におけるエネルギー効率向上の事例:UFS4.0対応の組み込み式フラッシュメモリ
キオクシアは、UFS4.0に対応した組み込み式フラッシュメモリ(UFS*2製品)を開発しました。本製品は、当社3次元フラッシュメモリ第5世代「BiCS FLASH™」を搭載し、UFS4.0に対応した新コントローラの採用により、シーケンシャルリード(連続したデータの読み出し)時の1GB処理あたりのエネルギー効率を当社前世代製品*3に比べて約9%改善しています。


256GBの本製品では、シーケンシャルリードおよびライト性能は当社前世代製品*3と比べて、それぞれ約100%、約95%向上しています。また、ランダムリードおよびライト(不規則なデータの読み出しや書き込み)性能は、当社前世代製品*3と比べていずれも約75%向上しています。
モバイル機器など小型・省電力が必要なアプリケーションにおいて、高性能化・大容量化のニーズが拡大しており、今後も組み込み式フラッシュメモリであるUFSの需要拡大が期待されています。
当社は、ハイエンド・スマートフォンなどモバイル・アプリケーションに対応可能な本製品の提供を通じて、5Gを活用してユーザー体験を向上させる機器の開発に貢献するとともに、製品使用時の消費エネルギー効率向上にも貢献します。
- *2 UFS (Universal Flash Storage):JEDEC(半導体技術協会)が規定する組み込み式フラッシュストレージの標準規格。シリアルインターフェースを採用し、全二重通信を用いているため、ホスト機器との間でのリード・ライトの同時動作が可能。
- *3 当社前世代256GBの製品「THGJFGT1E45BAIP」
- 本製品の表示は搭載されているフラッシュメモリに基づいており、実際に使用できるメモリ容量ではありません。メモリ容量の一部を管理領域等として使用しているため、使用可能なメモリ容量(ユーザー領域)はそれぞれの製品仕様をご確認ください。
- リードおよびライト性能は、キオクシアの試験環境で特定の条件により得られた最良の値であり、ご使用機器での速度を保証するものではありません。リードおよびライト性能は使用する機器等の条件により異なります。
- 社名・製品名・サービス名は、それぞれ各社が商標として使用している場合があります。
PCIe® 4.0 対応小型クライアントSSD「KIOXIA BG5シリーズ」
当社はクライアントSSD製品として、高速PCIe® 4.0インターフェースに対応し、モバイル機器向けの小型フォームファクターを採用した「KIOXIA BG5シリーズ」を開発しました。
当社の第5世代「BiCS FLASH™」3次元フラッシュメモリを搭載したKIOXIA BG5シリーズは、PCIe® Gen4 x4レーンの構成により64GT/sの高速インターフェーススピードに対応し、PCIe® Gen3 x4レーン構成の当社既存クライアントSSD*4 に比べて最大シーケンシャルリード性能で約50%、最大シーケンシャルライト性能で約60%向上しました。また、1024GB製品での1GB処理あたりのエネルギー効率は、シーケンシャルリード時で約15%、シーケンシャルライト時で約20%改善しました。


また、本製品はバーチャル・マルチLUN (Logical Unit Number)やHMB (Host Memory Buffer)などの技術を採用することにより、高速なデータ処理を求めるノートPCや小型モバイル機器向けに快適なストレージ環境を提供します。
当社は、本製品の提供を通じて、高速インターフェースに対応した、高性能・高機能のノートPCや小型モバイル機器の開発に貢献するとともに、製品使用時の消費エネルギー効率向上にも大きく貢献します。
- *4 KIOXIA BG4シリーズに比べて
- PCIeは、PCI-SIGの登録商標です。
- NVMeはNVM Express, Inc.の米国またはその他の国における登録商標または商標です。
- その他記載されている社名・商品名・サービス名は、それぞれ各社が商標として使用している場合があります。
製品化学物質管理の取り組み
キオクシアグループは、持続可能な社会の実現に向けて、製品に使用する化学物質が人々の健康や環境にもたらすリスクを低減しています。
環境法令や規制は、各国・地域で年々強化されています。これらやお客様からの要請を遵守しつつ、健康や環境に著しい影響を与える可能性のある物質の削減、代替に努めています。また、化学物質の適切な管理を行うため、モニタリングツールや外部コンサルタントの活用、業界団体への参画、使用を禁止すべきまたは管理すべき化学物質の定期的な評価を行っています。
推進体制として、環境・品質・調達部門を中心とする「グリーン調達ワーキンググループ」を構成し、「キオクシアグループグリーン調達ガイドライン」を定めています。本ガイドラインは、各国・地域の環境法令や規制およびお客様からの要請などを反映し、定期的に更新するとともに、調達取引先へ周知しています。
なお、製品およびその部材に使用される化学物質については、設計開発段階から環境影響のアセスメントを行い、製造工程においても環境負荷の小さい化学物質を使用するように努めています。