製品を通じた環境貢献

キオクシアグループが提供するフラッシュメモリやSSD製品は、多種多様なアプリケーションに組み込まれ、社会で活用されています。当社グループは、製品製造時における製品の容量当たりのCO₂排出量削減や、製品使用時のエネルギー消費効率に貢献する製品の提供を含め、製品ライフサイクルのあらゆるステージで環境負荷低減に努めています。

近年、AIの普及やデータセンターの増設、自動運転の技術革新が加速する中で、フラッシュメモリやSSD製品の大容量化および高速化へのニーズが高まっています。当社グループはフラッシュメモリの高集積技術開発による大容量化を推進することにより、製品製造時における容量当たりのCO₂排出量削減に取り組んでいます。具体的には、製品製造時に製品の容量当たりの使用する電力量や材料を低減しています。また、製品使用時には1GB(ギガバイト)データ処理当たりのエネルギー消費効率を向上しています。
一方、AIの普及により、今後は従来よりも高速・大容量のフラッシュメモリやSSDへの需要増加が見込まれることから、環境面ではこれらの需要にともなう電力消費の増加が懸念されています。そのため、エネルギー消費効率の高い大容量フラッシュメモリや高スループット(単位時間当たりのデータ処理量が大きい)SSDのニーズが、幅広い分野でますます拡大すると想定しています。さらに当社グループは、製品のライフサイクルにおける環境負荷を把握するため、製品に対してLCA(Life Cycle Assessment)*1手法によるCO₂排出量評価を開始し、2024年3月にはDNVによる第三者検証を取得しました。今後も順次拡大していく予定です。

*1 Life Cycle Assessment(ライフサイクルアセスメント):製品・サービスのライフサイクル全体(原材料調達/製造/輸送/使用/廃棄)またはその特定段階における環境負荷を定量的に評価する手法。

DNVによる検証書

また、研究開発部門ではユーザーで使用されて劣化したSSDのリユースを目的とし、NANDの性能を回復させる技術検討を開始しました。

当社グループは低炭素社会の実現に貢献するため、これからも技術開発によるエネルギー消費効率向上と大容量化を重要課題として推進していきます。

キオクシアグループ製品の環境貢献分野

製品のエネルギー消費効率向上の目標

キオクシアグループは製品のエネルギー消費効率のさらなる向上を進めています。具体的には、2017年度を基準としたメモリ・SSD製品の1GBデータ処理当たりのエネルギー消費量を2025年度までに50%削減するという高い目標を掲げています。
2023年度は、NAND型フラッシュメモリの高集積化および高速化、自社における最適なコントローラの設計開発により、1GBデータ処理当たりのエネルギー消費量を2017年度比で約31%削減しました。

目標:製品のエネルギー消費効率の向上

エネルギー効率の改善目標:2017年度を基準とした1GB処理あたりのエネルギー消費量を2025年度までに50%削減 エネルギー効率の改善目標:2017年度を基準とした1GB処理あたりのエネルギー消費量を2025年度までに50%削減

製品使用時におけるエネルギー消費効率向上の事例

UFS 4.0対応組み込み式フラッシュメモリ

キオクシア株式会社は、UFS 4.0に対応した組み込み式フラッシュメモリ(UFS*24.0製品)の性能を向上させ、量産を開始しました。本製品は、ハイエンド・スマートフォンをはじめとするモバイル機器などのアプリケーション向けに、データのダウンロードの高速化、タイムラグの短縮など、5Gの高速ネットワークを活用することができるように開発した製品であり、ユーザー体験を向上させる高性能モバイル機器の開発に貢献します。

本製品は、同社の3次元フラッシュメモリ「BiCS FLASH™」とコントローラをJEDEC規格のパッケージに収めたもので、256GB、512GB、1TBの3つの容量タイプをラインアップし、同社前世代製品と比較して*3、シーケンシャルライト性能が約18%、ランダムライト性能が約30%、ランダムリードが約13%それぞれ向上しています。
また、1GBデータ処理当たりのエネルギー消費効率(J/GB)は、同社前世代製品に比べてシーケンシャルリード時で約17%、シーケンシャルライト時で約15%向上しています。
さらに、512GB製品のパッケージ体積は前世代の512GB製品よりも約16%小さくなっており、使用材料の削減にも貢献しています。

UFS 4.0対応組み込み式フラッシュメモリ
  • *2 UFS (Universal Flash Storage):JEDECが規定する組み込み式フラッシュストレージの標準規格。シリアルインターフェースを採用し、全二重通信を用いているため、ホスト機器との間でのリード・ライトの同時動作が可能。
  • *3 本製品(512GB製品型番「THGJFLT2E46BATP」)と前世代製品(512GB製品型番「THGJFJT2T85BAT0」)を比べて。
  • 本製品の表示は搭載されているフラッシュメモリに基づいており、実際に使用できるメモリ容量ではありません。メモリ容量の一部を管理領域などとして使用しているため、使用可能なメモリ容量(ユーザー領域)はそれぞれの製品仕様をご確認ください。
  • リードおよびライト性能は同社の試験環境で特定の条件により得られた最良の値であり、ご使用機器での速度を保証するものではありません。リードおよびライト性能は使用する機器などの条件により異なります。
  • 社名・製品名・サービス名は、それぞれ各社が商標として使用している場合があります。

PCIe® 4.0, NVMe™ 1.4c対応小型クライアントSSD「KIOXIA BG6シリーズ」

キオクシア株式会社は、PCIe® Gen4 x4インターフェースと第6世代BiCS FLASH™を搭載した、最大容量2,048GBの小型フォームファクターNVMe™ SSDである「KIOXIA BG6シリーズ」を製品化しました。

同社の第6世代「BiCS FLASH™」3次元フラッシュメモリを搭載したKIOXIA BG6シリーズは、PCIe® Gen4 x4レーンの構成により64 GT/s(16 GT/s x4)の高速インターフェーススピードに対応し、1,024GB製品の最大シーケンシャルリード性能、最大シーケンシャルライト性能ともに、同社前世代クライアントSSDに比べて*4約70%向上しました。さらに、1,024GB製品での1GBデータ処理当たりのエネルギー消費効率は、シーケンシャルリード時に約40%、シーケンシャルライト時に約30%改善しました。

また、ホストメモリバッファ(HMB)*5などの技術を採用することにより、高速なデータ処理を求めるウルトラモバイルノートPC向けに快適なストレージ環境を提供します。
同社は、本製品の提供を通じて、高速インターフェースに対応した、高性能・高機能のノートPCの開発に貢献するとともに、製品使用時の消費エネルギー効率向上にも大きく貢献します。

クライアントSSD「KIOXIA BG6シリーズ」
  • *4 KIOXIA BG5シリーズに比べて。
  • *5 ホストメモリ(DRAM)の一部をSSDが使えるようにする技術。DRAMを搭載しないSSDでも、DRAMを搭載したSSDと同等の性能が得られる。
  • 読み出しおよび書き込み速度は、ホストシステム、読み書き条件、ファイルサイズなどによって変化します。
  • PCIeは、PCI-SIGの登録商標です。
  • NVMeは、NVM Express, Inc.の米国またはその他の国における登録商標または商標です。
  • その他記載されている社名・商品名・サービス名などは、それぞれ各社が商標として使用している場合があります。