環境負荷の状況、環境目標、実績

環境負荷の状況

キオクシアグループの製品製造時の環境負荷(マテリアルバランス)は下表の通りです。社会の情報インフラ需要の拡大にともない当社グループは製造ラインを拡張しているため、環境負荷は増加傾向にありますが、さまざまな環境負荷低減活動により影響を抑える取り組みを続けています。製品製造時における製品の容量あたりの環境負荷を低減するため、基準年に対する相対値などを目標に掲げ、計画、施策の実施および達成度の確認を行っています。

以下の実績の対象範囲は、キオクシア株式会社(本社、横浜テクノロジーキャンパス、四日市工場)、キオクシア岩手株式会社、Solid State Storage Technology Corporation(以下、SSSTC)です。

投入

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  2020年度 2021年度 2022年度
化学物質*1 (t) 56,418 63,539 63,241
  - VOC*(t) 16,985 18,330 18,318
  - PRTR*3 (t) 7,214 7,539 6,669
市水*4 (千㎥) 59 71 122
工業用水*4 (千㎥) 22,764 24,417 25,153

排出

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  2020年度 2021年度 2022年度
温室効果ガス (千t-CO2) 2,365 2,542 2,580
化学物質* (t) 639 625 535
  - VOC*2 (t) 599 583 495
  - PRTR*3 (t) 3 2 2
廃棄物 (t) 93,914 105,737 101,604
  - リサイクル量 (t) 67,925 75,025 72,932
排水量 (千㎥) 17,300 18,445 18,923
NOx (t) 28.7 26.6 32.5
SOx (t)
  • *1 削減対象物質。
  • *2 VOC:揮発性有機化合物。光化学スモッグを引き起こす光化学オキシダントの原因物質。IPA、酢酸ブチル、シクロヘキサノンなど。
  • *3 PRTR:化学物質排出移動量届出制度。有害性のある化学物質(亜鉛の水溶性化合物、2-アミノエタノール、銀およびその水溶性化合物等)がどのような発生源からどれくらい環境中に排出されたか、あるいは廃棄物に含まれて事業所の外に運び出されたかというデータを把握、集計し、公表する制度(対象は日本国内)。
  • *4 すべて淡水。

各製造拠点の詳細な環境負荷や負荷低減活動については、以下の環境報告書をご覧ください。

目標と実績

キオクシアグループは、持続可能な社会の実現を目指し、環境目標を定め、取り組みを実施しています。下表は当社グループの2022年度の環境目標の達成状況です。2022年度も組織横断的な省エネルギー活動の推進や化学物質取扱量・廃棄物量削減の努力により、すべての計画を達成しました。また、工場を中心に、従業員参画型の社会貢献活動や生物多様性活動を活発に展開しています。

数値目標は、主に2017年度の製造時における製品の容量あたりの環境負荷を100%とした相対値で設定し、排出量などの低減を進めてきました。事業計画では製造ラインの拡張を含むため、環境負荷は前年比で増える想定ですが、引き続き、組織横断的な負荷低減施策を推進していきます。

以下の実績の対象範囲は、キオクシア株式会社(本社、横浜テクノロジーキャンパス、四日市工場)、キオクシア岩手株式会社、Solid State Storage Technology Corporation(以下、SSSTC)です。

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環境目的・目標 2022年度
計画
2022年度
実績
2022年度
達成状況
社会の環境負荷低減に貢献する製品提供 微細化による製品と製造プロセスの環境負荷低減 3施策 / 年以上 3施策
地球温暖化防止の推進 エネルギー起源CO2排出量 50.0%以下 44.3%
PFC等ガス*5排出量
(2017年度基準)
65.0%以下 49.5%
資源の有効利用推進 廃棄物量
(2017年度基準)
51.6%以下 40.4%
廃棄物総排出量
(2017年度基準、有価物含む)
54.2%以下 42.8%
水受入量
(2017年度基準)
50.9%以下 42.1%
環境リスク低減 化学物質排出量
(2017年度基準)
26.6%以下 21.4%
生物多様性保全 生物多様性保全 指標種の定期的測定 指標種定期測定
環境コミュニケーション推進 社会コミュニケーション チャリティーエコバザー、資源物回収 / 寄付など チャリティーエコバザー、資源物回収 / 寄付など実施
地域コミュニケーション 製造拠点コミュニケーション 製造拠点コミュニケーションの実施
(地元自治会との協議など)
環境意識向上 環境意識の向上 意識向上施策 意識向上施策(環境月間行事など)実施
  • *5 半導体製造時に使用する代替フロンガス。地球温暖化係数が高く、当社グループ使用物質ではCF4、C4F8、CHF3、SF6、NF3、CH2F2、CH3F、CH4、N2Oが対象。

VOC除害

キオクシアグループは、化学物質の排出削減に取り組んでいます。揮発性有機化合物(VOC)*6については、2011年以降に建設した製造棟において、除害装置を100%設置しています。

  • *6 光化学スモッグを引き起こす光化学オキシダントの原因物質。IPA、酢酸ブチル、シクロヘキサノンなど。

資源有効活用

キオクシアグループはサプライチェーン全体を通じた環境負荷軽減を目指し、資源の有効活用に努めています。製造過程で発生する廃棄物の回収・再生活用や製造プロセスの改善等による薬品・ガスの使用量削減、環境配慮型包装の使用などにも積極的に取り組んでいます。
2022年より、資源の有効活用と廃棄物削減を目的とした組織横断プロジェクトも始動しています。

製造工程で発生する廃棄物のリユース・リサイクル

半導体製造におけるウエハー上に回路を形成する工程では、フィルムカメラの露光(撮影)から現像までの仕組みを応用して回路パターンを転写しています。国内グループの製造事業場では、現像後に使用する洗浄溶剤をすべて回収し、外部委託先にて蒸留精製後に、事業場内にて同じ用途でリユースしています。
キオクシア株式会社四日市工場では、ウエハーの洗浄や回路形状加工で使用するフッ酸も、回収後に人工蛍石製造設備で処理しています。フッ化カルシウム(人工蛍石)として回収することにより、フッ酸含有汚泥を約3割削減しました。回収したフッ化カルシウムは、輸入天然資源である蛍石の代替として、フッ素系製品メーカーにおいてフッ素系材料として使用されます。この取り組みによって、希少資源である蛍石の輸入量抑制にも寄与しています。
また、ウエハーの成膜材料となるポリイミドは、使用後に廃棄していましたが、組成変更にともなう有価物化の再評価を実施した結果、リユースが可能となりました。回収後は蒸留精製され、主に塗料の原料となっています。

環境に配慮した包装材の使用

キオクシアグループでは、環境に配慮した包装の使用を拡大しています。製品に使用されるメモリチップやシリコンウエハーは、当社グループと外部協力会社や原材料メーカーの間を搬送して製造・加工されます。繊細なメモリチップやウエハーの品質を維持するために、輸送に耐えられる強度と内部の清浄性の両方を確保できるプラスチック製ケースが使われています。国内グループでは、このケースを使用後に検品してリユースしており、ウエハー用ケースのリユース割合は9割近くにおよびます。
法人のお客様向けSSD製品の包装については、製品を固定するための形状精度とリサイクル性*7を両立するプラスチック製内トレーと、強度に優れてリサイクルしやすい段ボール製梱包材(輸送用外装箱、内装箱)を使用しています。

  • *7 リサイクルが容易な単一素材(モノマテリアル)を使用しています。

その他の環境の取り組みについての実績は以下をご覧ください。