取引先調査
(社数)
持続可能なサプライチェーン
サプライチェーンにおける企業の社会的責任について、社会の関心は年々高まっています。キオクシアグループは、グループ行動基準に公正な事業運営を掲げるとともに、持続可能なサプライチェーンをサステナビリティ重点課題(戦略マテリアリティ)の一つに定め取り組んでいます。
自社に加えて、調達取引先との協働により、サプライチェーンにおける労働者の人権、安全衛生、環境などの課題に配慮した事業を遂行し、ビジネスリスクの低減と持続可能な調達活動の実現を目指しています。
キオクシアグループのサプライチェーン
地域別 調達額比率(2021年度、金額ベース)

キオクシアグループは、各国・地域の調達取引先からさまざまな原材料や資材を調達しています。2021年度の調達取引先数は約700社となり、海外の調達額比率*1は49%を占めています。
- *1 海外取引先には、外資系企業日本法人からの調達額を含む
キオクシアグループの調達方針
キオクシアグループは、各国・地域の法令や社会規範を遵守し、調達取引先との相互理解の促進と信頼関係の構築を通じて、サプライチェーン・マネジメントに取り組み、サプライチェーン全体で持続可能な調達活動の推進に努めています。
キオクシアグループは、調達取引先に対し、「キオクシアグループ調達方針」の遵守とサプライチェーンにおける責任ある事業の推進を要請しています。また、サプライチェーンの適切な管理を目指し、社会情勢や経営環境の変化に応じて調達方針を適宜見直しており、2021年8月に「キオクシアグループ調達方針」を改定、当社のサプライチェーンに対する要請を定めた「キオクシアグループサプライチェーン行動規範」を策定しました。
さらに、環境に関しては「キオクシアグループグリーン調達ガイドライン」、鉱物調達に関しては「キオクシアグループ責任ある鉱物調達方針」を定め、関連する調達取引先へ周知しています。
サプライチェーン・マネジメントの推進体制
キオクシアグループでは、キオクシアの本社調達部に企画担当を設置し、調達取引先との取引の適正化とサプライチェーン・マネジメントに取り組んでいます。
調達活動の推進にあたっては、サステナビリティ推進部、環境関連部門、人事総務部門など関連部門との連携を図っています。
業界団体・イニシアティブへの参画
キオクシアグループは、グローバルサプライチェーンにおける労働・安全衛生・環境・倫理などの社会的責任を果たすため、2021年にRBA(Responsible Business Alliance) *2に加盟しました。レギュラーメンバーとして、RBAの行動規範に沿った責任ある事業遂行(自社サステナビリティ活動の推進、および調達取引先への要請)に取り組んでいます。
- *2 RBA(Responsible Business Alliance):責任ある企業同盟(旧Electronic Industry Citizenship Coalition)。
また、キオクシアグループは、RBA傘下の責任ある鉱物調達に関わるイニシアティブであるRMI(Responsible Minerals Initiative)とJEITA(電子情報技術産業協会)の責任ある鉱物調達検討会に参画し、責任ある鉱物調達を推進しています。
調達取引先とのアセスメントとモニタリング
新規取引先アセスメント
新規に調達取引を開始する際は、調達取引先に当社グループの調達方針並びにサプライチェーン行動規範を含む持続可能な調達に関する方針を周知しています。調達取引先の労働安全衛生、環境や工程の管理体制、法令遵守、経営状況などが当社グループの調達取引先選定基準に則しているかを確認の上、調達取引先との合意に基づく取引を行っています。
サプライチェーンモニタリング
調達取引先との取引継続に際しては、取引規模などを参考に取引先を選定し、RBAが提供する自己評価調査票(RBA-SAQ*3)の実施を依頼しています。このように、調達取引先におけるRBA行動規範への適合状況を把握し、サプライチェーン・マネジメントの徹底を図っています。RBA-SAQでハイリスク判定となった調達取引先に対しては、調達担当者によるヒアリング調査を行い、必要に応じてRBA第三者監査の受審など是正要請をしています。また、随時実施している品質監査などにおいて、調達取引先の製造現場の管理状況を確認し、必要に応じて改善の要請や取り組みの支援をしています。
- *3 RBAが提供する自己評価調査票。労働・安全衛生・環境・倫理・マネジメントシステムから成り、当社は企業全体を対象とするCorporateと各工場を対象とするFacilityの2種類の自己評価調査票を併用。
サプライチェーンモニタリングの実績 (2021年度、キオクシア本社)
※表を左右にスクロールすることができます。
調査 (社数) |
回答 (件数) |
リスク判定結果(件数) | 是正依頼 (件数) |
|||
---|---|---|---|---|---|---|
ローリスク (回答数) |
ミディアムリスク (回答数) |
ハイリスク (回答数) |
||||
RBA-SAQ*4 (Corporate) |
48 | 48 | 40 | 8 | なし | なし |
RBA-SAQ*4 (Facility) |
45 | 110 | 107 | 3 | なし | なし |
- *4 RBAオンラインによるRBA-SAQ回答
責任ある鉱物調達について
2010年に米国金融規制改革法(ドッド・フランク法)において紛争鉱物問題に関する1502条が施行された後、キオクシアグループは米国上場企業のサプライチェーンに連なる企業として、コンゴ民主共和国およびその近隣周辺地域で採掘された錫、タンタル、タングステン、金(通称3TG)が反社会的勢力の資金源となっていないことを確認すべく、取引先企業を通じた精錬所の調査に取り組んできました。
2021年3月より、当社は上記地域に加え、紛争地域および高リスク地域(通称CAHRAs)における、紛争、人身売買、奴隷、強制労働、児童労働、虐待、戦争犯罪などの非人道的行為に関わる、3TGおよびコバルトを原材料として使用しないことを「キオクシアグループ責任ある鉱物調達対応方針」に定め、責任ある鉱物調達を推進しています。
キオクシアグループ鉱物調達推進体制
本社調達部、営業部門、技術部門、IT部門など関係部門からなる「責任ある鉱物調達ワーキンググループ」が、「キオクシアグループ責任ある鉱物調達方針」に沿ってキオクシアグループとしての取り組みを推進し、適宜サステナビリティ推進委員会に報告しています。
鉱物調査の取り組み
キオクシアグループは、当社への納入品に使用される3TGやコバルトなど鉱物の使用状況に応じて、サプライチェーンの製錬所情報の調査を実施しています。当社は調達取引先に対して、RMIによる認証を受けた精錬所RMAP(Responsible Minerals Assurance Process)から100%調達すべく要請するとともに、サプライチェーン上にある製錬所が3TGをコンゴ民主共和国およびその近隣周辺、紛争地域および高リスク地域から鉱物調達している場合、調達取引先に対して対象精錬所の特定を求めています。
2021年度、当社は3TGを使用している可能性のある調達取引先75社に対して、RMI作成のCMRT(Conflict Minerals Reporting Template)による製錬所調査を依頼しました。しかし、2021年度は、年次調査の終盤である2022年2月頃に、RMAP認証済み精錬所がRMIの認定から多数除外されたため、RMAP認証済み、または監査中の精錬所からの調達割合は一時的に下がりました(2022年3月末時点で78%、5月末時点で93%*5)。当社では、RMAPからの調達割合100%を目標に引き続き取り組みを進めています。
また当社は、ステークホルダーからの要請を踏まえ、調査対象鉱物にコバルトを加え、2021年度は調達取引先30社を対象にRMIのEMRT(Extended Minerals Reporting Template)による精錬所調査に取り組んでいます。
- *5 RMAP適合製錬所の他、RMI監査中の精錬所を含む
鉱物調達モニタリングの実績 (2021年度、キオクシア本社)
※表を左右にスクロールすることができます。
調査 (社数) |
回答 (件数) |
調査結果(件数) / 適合率(パーセント) | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
2022年3月末 | 2022年5月末 | ||||||
適合 | 適合*6 | 調査継続*6 | 適合不可 | 取引停止 | |||
CMRT調査 (3TG) |
75 | 121 | 93 | 18 | 9 | 0 | 1 |
78% | 93% | ||||||
EMRT調査 (コバルト) |
30 | 34 | 31 | 0 | 3 | 0 | 0 |
91% | 91% |
- *6 RMAP適合以外の精錬所から鉱物調達した調達取引先に対するデューデリジェンス依頼
グリーン調達の取り組み
キオクシアグループは、「キオクシアグループ環境方針」に掲げる、持続可能な社会の実現に向けて、環境・品質・調達部門を中心とした「グリーン調達ワーキンググループ」を組成しグリーン調達に取り組んでいます。「キオクシアグループグリーン調達ガイドライン」に、環境負荷の小さい資材の選定や含有化学物質管理に関する当社の管理基準や調達取引先に対する具体的な要請事項を定めています。各国・地域の法令や規則、顧客からの要請などを反映するべく、本ガイドラインを適宜更新しています。
また当社は、設計開発段階から化学物質による環境影響のアセスメントを徹底的に行い、環境負荷の低い部材を使用することで、環境負荷の低減に努めています。
これらの取り組みを通じて、当社は調達取引先と環境保全活動に関する課題の共有化・相互協力を行い、より良い地球環境の実現に貢献していきます。
グリーン調達モニタリングの実績 (2021年度、キオクシア本社)
※表を左右にスクロールすることができます
|
調査回答 |
是正依頼 |
是正完了 |
取引停止など |
|
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環境調査票*7 |
14 |
14 |
- |
- |
- |
グリーン調達*8 |
145 |
113 |
0 |
0 |
0 |
- *7 RBA環境調査票:RBA Environmental Survey:
- *8 当社グリーン調達システム(pCORE)における含有化学物質登録の精度改善要請
持続可能な調達に関する従業員の教育
当社は2021年度、調達および営業、人事総務部門を主な対象に、社会動向や当社の持続可能な調達活動に関する考え方、RBA行動規範について研修を実施しました。本研修はオンライン形式で実施し、調達部門では在籍者全員が受講しました。
サプライチェーンリスクへの対応
調達取引先が当社の調達方針やサプライチェーン行動規範に定める調達取引基準に違反した場合、調達取引先やサプライチェーンにおけるサステナビリティ関連リスクが確認された場合、新たな法規制や社会的要請により対応が必要になった場合など、当社は該当する調達取引先に改善などの対応要求を行います。それらの調達取引先に対して是正指導・支援を行い、是正が困難と判断された場合には、取引を停止します。
なお、2021年度、サステナビリティ関連リスクにより取引停止となった調達取引先はありませんでした。
BCP*9(事業継続計画)におけるサプライチェーンからの供給確保
キオクシアグループでは、地震や自然災害、事故に加え、パンデミックなどの緊急事態による事業の中断を回避するために、調達取引先の複数化や有事の際に備えた緊密な連携に努めています。具体的には、BCP方針のもと、平時よりサプライチェーンの状況把握に努めることで、有事に影響を迅速に把握するとともに、早期復旧に向けて連携する体制を整備しています。また、主要な調達取引先に対してBCPのアセスメントを行うことで、BCPの深耕に取り組んでいきます。
- *9 BCP: Business Continuity Plan