地域社会の発展支援

基本的な考え方

キオクシアグループは、社会課題解決への貢献はもちろんのこと、地域社会との共生が良き企業市民としての責務と考えています。「記憶」の技術で社会を豊かにすることを目指して、地域社会や政府・自治体、NPO・NGO、学術機関などと対話しながら、当社グループの技術や製品・サービス、ノウハウ、従業員などの資源を活かして、地域社会の課題に取り組みます。特に、事業を展開する地域社会の活性化、および科学分野における次世代の人材育成に注力しています。

推進体制

キオクシアグループでは、各社・各拠点の総務部門が地域貢献活動を担当しています。事業活動を展開している各地域において、地域社会と積極的にパートナーシップを築き、地域に根差した活動を実施するとともに、従業員の社会参画も促進しています。

ボランティア活動に利用可能な休暇制度

キオクシア株式会社では、長期休暇制度を導入し、従業員の地域貢献活動への参加を支援しています。従業員は積み立てた年次有給休暇(最大25日)を地域貢献活動などに活用できます。

主な活動実績(2022年度)

次世代の理系人材育成への貢献

キオクシアグループは、将来を担う若者が科学技術やものづくりに興味を持ち、優秀な技術者を志すことを支援するべく、さまざまな体験の場を提供しています。2022年度は、理科の出前授業や、ワークショップ、講義を各地で実施し、小学生から大学院生までを中心に約2,200人が参加しました。

四日市こども科学セミナーへの出展

キオクシア株式会社は、2022年8月、子どもたちが科学に触れ、科学への興味・関心を高めることを目的に開催された四日市こども科学セミナーに出展しました。
「実感サイエンス『ものづくりのまち四日市』」と題するセミナーパートでは、同社は「メモリのひみつ」のタイトルで、約60名の参加者を対象に、メモリの仕組みの紹介、記憶にまつわるクイズ出題などを行いました。参加した子どもたちは積極的にクイズに答えるなど、大変盛り上がりました。VR(バーチャルリアリティ)ゴーグルを使った、ものづくりの現場であるクリーンルーム体験に特に人気が集まり、目を輝かせながら興味津々にゴーグルをあちらこちらへ向ける子どもたちの姿が多く見られました。

四日市こども科学セミナーの様子

岩手県小学生プログラミング教育事業への協賛

キオクシアグループの第二製造拠点としてスタートしたキオクシア岩手株式会社は、2020年より岩手県小学生プログラミング教育事業に協賛しています。
本事業は、子どもたちの情報活用の基本的な能力や論理的思考力を育み成長させることを目的に、体験教室、プログラミングコンテストなどを通じて、プログラミング教育の浸透を図っています。
キオクシア岩手株式会社はものづくり企業として、小学生ならではの自由な発想や創意工夫に大いに期待しています。

プログラミング体験教室の風景

四日市市立中学校への出前授業

キオクシア株式会社は、2008年度から四日市市教育員会と連携して、出前授業を行っています。社会的な課題となっている子どもの「理科離れ」や教育現場における「キャリア教育」のニーズを背景に、同社従業員の授業を受けることにより、中学生に理科や科学に興味を持ってもらうことを目的としています。
2022年度は、大池中学校と西笹川中学校において、「会社のお仕事」をテーマに出前授業を行いました。同社は、VRゴーグルを着用したクリーンルームのバーチャル見学を交えながら、半導体の製造工程や、工場ではどのような業務があるのかを紹介しました。また、生徒はウエハーやプリント基板*を手に取りクリーンスーツを着用した作業を体験しました。さらに、自身のキャリアを考えるきっかけとしてもらうべく、同社の技術者が実際に取り組んでいる環境課題の一つである廃棄物の削減を例にワークショップを実施しました。

  • *1 ウエハーは、半導体チップの基盤材料となる半導体結晶の円盤、プリント基板は電子部品同士を電気的に接続する電子部品。
クリーンスーツを着用した作業の体験

女子中高生夏の学校への出展とキャリア形成支援

女性活躍推進の一環として、キオクシア株式会社は2018年から、国内最大級の女子中高生の理系進路選択支援事業「女子中高生の夏の学校(夏学)*2」に出展しています。
2022年、同社は「ポスターとキャリア相談 研究者・技術者と話そう」のプログラムにオンラインで参加しました。「『フラッシュメモリの秘密』を探検しよう!」をテーマに、フラッシュメモリが身近な生活においてさまざまな形で利用されていることやその仕組みを説明。さらに、同社の女性技術者が自身のキャリアを紹介しました。
参加した女子中高生からは「学部選びに悩んでいます。学部選びでは、何が決め手になりましたか?」「どうやって大学や会社を決めましたか?」といった進学やキャリアに関する質問を受けました。女性技術者からは「技術は資格と同じくらい価値があります」「大学のオープンキャンパスや学園祭に行って、自分がそこで学生生活を送るイメージを持てると、勉強するモチベーションにつながると思います」など参加者の将来についてアドバイスをしました。

今後も同社は、次世代の理系人材育成のため、科学技術やものづくりのおもしろさを体験する場を提供していきます。

  • *2 女子中高生夏の学校(夏学)は、女子中高生夏の学校実行委員会(2018年)、独立行政法人国立女性教育会館(NWEC、2018年、2019年)、NPO法人女子中高生理工系キャリアパスプロジェクト(GSTEM-CPP、2019年~)が主催する女子中高生の理系進路選選択支援事業です。
オンラインで女子中高生のキャリア相談に乗る現役技術者

岩手大学とキオクシア岩手株式会社の教育連携

キオクシア岩手株式会社は、2019年から岩手大学との教育連携を進めています。2022年度は、これまでの公開講座の内容を発展させ、複数の工学科において半導体関連の講義を実施しています。講義では、半導体産業の発展の歩み、半導体のテクノロジードライバー*3であるロジックデバイスの微細化技術、メモリデバイスの三次元化技術を紹介しています。受講する学生は年々増加し、講義中も活発な意見や質問が飛び交っています。
産学相互発展のため、今後、東北地域の他大学や、高等専門学校、高等学校への展開を予定しています。

  • *3 次世代の機器や、製造技術の開発を推し進める最先端のプロセスや生産技術。
岩手大学での講義の様子

大学院等での教育連携

国内グループは、若手科学技術者の育成を目的に、大学院等で教育を実施しています。
キオクシア株式会社では、電気通信大学と2019年度に包括連携協定を結び、人材交流を通じて技術者の育成、および研究活動に協力し、半導体メモリと半導体製造に関連する科学技術の発展に貢献することを目指しています。2022年度は、当社技術者が客員教授として、情報理工学研究科の修士・博士課程の学生約100名を対象に、「情報メディアシステム(データマイニング)」の講座を開催しました。
また、名古屋大学では「社会を支える半導体メモリ(不揮発メモリの進化について)」、同志社大学では「博士キャリアカフェ:社会に生かそう博士の力」等をテーマに講師を務め、2022年度に全国の大学・大学院で実施した講座は124回、受講者は約1500名におよびます。
さらに国内グループでは、電子情報技術産業協会(JEITA) 半導体部会主催の講演会・講義への講師の派遣などを通じて、優秀な技術者を継続的に社会に輩出し、工学分野の発展および半導体産業の発展を目指しています。

産学交流の機会創出

キオクシア株式会社は、2020年度から、慶應義塾大学グローバルリサーチインスティテュート内の「AI・高度プログラミングコンソーシアム(AIC)」に参画しています。
2022年度は、「半導体製造における組み合わせ最適化問題へ挑戦」と題した、AI技術を用いたワークショップを実施しました。参加した学生は、身近な課題を題材に、条件を満たす解の中で一番よいものを求める問題に取り組みました。また、ワークショップ後、四日市工場を見学し、この技術が企業でどのように活用されているかを体験しました。学部から博士課程まで幅広い層の学生が参加し、参加者からは「AIの技術や企業での活用事例について理解が深まった」などのコメントがありました。AIにより課題をどのように解決し、新しい価値を生み出すのか、そのきっかけとしてもらうべく体験と交流の場を提供しました。

その他のキオクシア株式会社 四日市工場、キオクシア岩手株式会社の地域貢献活動はこちらをご覧ください。

チャリティーランを通じた寄付活動:キオクシアヨーロッパ社

キオクシアヨーロッパ社は、従業員の健康増進とチームビルディング、地域貢献を目的としたチャリティーランイベント「B2Run」に参加しました。
B2Runのビジョンは「スポーツと健康意識を通じて団結した社会を実現すること」、またミッションは「人々がともに活動する環境を作ることを通じて、社会における長期的な健康、チームビルディング、モチベーションをサポートすること」です。本イベントは、ドイツのデュッセルドルフで6kmのイベントとして開催され、参加企業は514社、完走者は11,500人にのぼりました。
キオクシアヨーロッパ社からは、従業員14名から成るランニング・チームが参加しました。また同社は、チャリティースターター(慈善目的のために参加する団体)として参加費用の中から1人当たり5ユーロをB2Runを通じてドイツ骨髄バンク(DKMS)に寄付しました。

お揃いのTシャツでB2Runに参加(キオクシアヨーロッパ社)

若者支援:キオクシアアメリカ社 LeadHERs

キオクシアアメリカ社は、女性活躍支援のための社内組織「LeadHERs」を2018年に設立しました。LeadHERsは、キオクシアアメリカ社の地域貢献チームと連携して、地域貢献イベントもサポートしています。

2022年10月にLeadHERsは、児童養護施設を卒業した若者を支援するオレンジウッド財団と協力して、昼食を作って提供するボランティアを行いました。オレンジウッド財団は、カリフォルニア州オレンジ郡において、若者が自立した大人になれるよう支援する団体で、健康と福祉、住居、生活技能と雇用、教育の分野において、年間約2,000人を支援しています。若者はこれらの施設の利用やプログラムへの参加を通じて、進学やキャリアに関するカウンセリングのほか、食料や日用品など自立した生活を送るためのサポートが受けられます。LeadHERsのボランティアは、寄付した食材をオレンジウッドの厨房で調理し、自立した生活への移行期にある18歳から24歳の若者に食事を届け、親睦を深めました。

オレンジウッドの厨房にて。参加メンバーの集合写真(キオクシアアメリカ社)

食を通じた子どもの支援:Solid State Storage Technology Corporation

台湾のSolid State Storage Technology Corporation(SSSTC)は、Baby Green Box Association(子どもを支援するNPO。以下BGBA)と連携して、児童養護施設の子どもが新鮮で安全な野菜や果物を食べられるように支援しています。台湾では、毎年600人以上の乳幼児が親を失い、児童養護施設に入所しています。その児童養護施設では、子どもの健康や成長に不可欠な新鮮で安全な野菜や果物を十分に確保できていないという課題を抱えています。SSSTCは2022年度に、NT$200,000(約91万円)の野菜と果物を購入し、BGBAを通じて台湾全土の児童養護施設に寄付しました。さらに、32名の従業員が野菜や果物を梱包するBGBAのボランティアに参加し、子どもの健康と成長を支援しました。

梱包ボランティア後の集合写真(SSSTC)