健康と安全

キオクシアグループが社会と共に持続的な発展をするためには、従業員一人ひとりの活力や心身の健康増進が事業活動の重要な基盤となります。キオクシアグループは、健康と安全をサステナビリティ重要課題(戦略マテリアリティ)の一つに定め、従業員や事業活動にかかわるすべての人々が安全で快適に働ける環境づくりに努めています。

安全健康基本方針

国内グループでは、経営トップが安全健康への誓いを自ら宣言し、全従業員に共有しています。キオクシア株式会社では、2017年の発足当初から「安全健康基本方針」を制定し、常に時代の要請に応える内容となるように毎年内容を見直しています。同社の本基本方針を受けて、国内グループ各社で方針を策定し、健康と安全の取り組みを推進しています。

海外グループ各社では、それぞれの国・地域の法令に基づき、従業員の安全健康の取り組みを推進しています。

労働安全衛生推進体制

国内グループでは、各社の総務部門内に安全健康担当を配置し、従業員の安全健康をサポートしています。各社の安全健康担当は、従業員の安全健康情報を各社社長へ定期的に報告しています。さらに、キオクシア株式会社の人事総務部 安全健康担当は、これらの情報を取りまとめ、同社の代表取締役社長および人事担当執行役員へ定期的に報告しています。

労働安全衛生管理体制(国内グループ)

労働安全衛生マネジメントシステム

キオクシアグループは、製造・研究開発の事業場を中心に、2021年1月より順次、労働安全衛生マネジメントシステム(ISO 45001:2018規格)認証の取得を推進しています。このシステムに基づき、リスクアセスメントによる安全健康リスクの低減、および法令遵守の確認を継続的に行い、安全健康管理の可視化を進めています。
また、キオクシアグループでは、会社と従業員が日々の活動を通じて、安全健康管理に努めており、職場の小集団による改善活動や危険に対する感受性を高める教育・訓練を継続的に実施しています。これらの活動とISO 45001に基づくマネジメントシステムを融合した安全健康管理を実践しています。

ISO 45001:2018認証取得状況

※表を左右にスクロールすることができます

認証取得組織名称

認証機関

有効期限

認証登録番号

キオクシア株式会社
キオクシアシステムズ株式会社
キオクシア岩手株式会社
キオクシアエンジニアリング株式会社
キオクシアエネルギー・マネジメント株式会社

日本環境認証機構(JACO)

2025年3月28日

WC18J0004

Solid State Storage Technology Corporation

DNV

2027年11月23日

183447-2015-ASA-RGC-RvA

健康と安全に関する主な取り組み(2023年度、国内グループ)

※表を左右にスクロールすることができます

取り組み区分

内容

安全・健康
共通

  • 安全健康基本方針に基づく推進計画の立案と実行
  • 安全健康表彰
  • 事業場安全衛生委員会、職場安全衛生会議
  • 外部審査、内部監査の受査
  • 各社の活動について各社社長への定期報告
  • 安全健康マネジメントレビュー*1の実施

安全

  • 各種関係法令の遵守
  • リスクアセスメントによる危険源の抽出、およびリスク低減活動の推進
  • 設備導入・改造時の安全審査
  • 社内安全専門委員会の運用
  • 労働組合、構内協力会社との情報共有と議論

健康

  • 遵法に基づいた健康施策の確実な実施
  • 受動喫煙による健康障害防止対策の推進
  • 脳・心臓疾患、生活習慣病対策
  • メンタルヘルス対策
  • 海外勤務者・出張者への健康管理
  • ワークエンゲージメント*2と職場の活性化推進
  • *1 国内グループ全体の活動に関するキオクシア株式会社代表取締役社長への定期報告。

  • *2 ワークエンゲージメント:仕事に対してポジティブで充実した心理状態のこと。

安全健康に関する意識啓発・教育

国内グループでは、労働安全衛生法に基づく教育のほか、新任や中堅クラスの安全衛生業務従事者向けの全社教育や事業場独自の実技講習などを実施し、従業員の健康と安全に関する知識向上に努めています。

健康と安全に関する主な教育実績(2023年度、国内グループ)

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研修名

受講者数(名)/ 対象者数(名)

役職昇格者教育(安全衛生)

100%(272/272)

メンタルヘルス教育

100%(17,108/17,108)

雇入時教育(安全衛生・交通安全など)

100%(1,173/1,173)

労働安全衛生法に基づく各種教育
(職長・衛生管理者・産業用ロボット・墜落防止器具など)

100%(1,190/1,190)

知識向上教育(安全健康推進委員・リスクアセッサー・内部監査員など)

100%(198/198)

これらの教育の他にも、各事業場で教育を実施しています。

労働災害の発生状況

国内グループでは、労働災害の発生状況を把握し、その低減に取り組んでいます。労働災害の度数率を指標とし、2023年は0.15と電気機械器具製造業0.54を下回る水準でした。
また、国内グループでは、労働災害防止に向けて、予防強化に取り組んでいます。特に、重篤な傷病につながるおそれのある危険性の高い作業や、危険性・有害性のある化学物質の取り扱いにおけるリスク低減を最優先課題として、すべての職場や作業に対するリスクアセスメントを進めています。さらに、リスクの把握から除去に至る作業方法の見直し、設備改修、従業員への教育訓練などにより、計画的にリスクを管理し低減しています。

休業災害発生度数率(国内グループ)*3

キオクシア国内グループの休業災害発生度数率のグラフです。2019年実績。全産業:1.80、電気機械器具製造業:0.54、国内グループ:0.07。2020年実績。全産業:1.95、電気機械器具製造業:0.52、国内グループ:0.13。2021年実績。全産業:2.09、電気機械器具製造業:0.54、国内グループ:0.30 。2022年実績。全産業:2.06、電気機械器具製造業:0.53、国内グループ:0.08。2023年実績。全産業:2.14、電気機械器具製造業:0.54、国内グループ:0.15。 キオクシア国内グループの休業災害発生度数率のグラフです。2019年実績。全産業:1.80、電気機械器具製造業:0.54、国内グループ:0.07。2020年実績。全産業:1.95、電気機械器具製造業:0.52、国内グループ:0.13。2021年実績。全産業:2.09、電気機械器具製造業:0.54、国内グループ:0.30 。2022年実績。全産業:2.06、電気機械器具製造業:0.53、国内グループ:0.08。2023年実績。全産業:2.14、電気機械器具製造業:0.54、国内グループ:0.15。
  • *3 度数率=労働災害による死傷者数/延べ実労働時間×1,000,000。
    全産業、電気機械器具製造業の数値は厚生労働省「労働災害動向調査」より。

健康経営の推進

キオクシアグループの事業を取り巻く環境が大きく変化する中で、社会や自社の発展に欠かせない従業員向けの健康施策を健康投資*4として位置付け、「健康経営」の実践に取り組んでいます。

キオクシアホールディングス株式会社では、2023年4月に「キオクシアグループ 健康経営宣言」を制定しました。

キオクシアグループ 健康経営宣言

当社は「『記憶』で世界をおもしろくする」というミッションのもと、「記憶」の技術を通じて社会に価値を創出し続けていくために、従業員の健康を重要な経営資源の一つとして捉え、従業員一人ひとりの健康増進を図り、「健康経営」を推進していくことを宣言します。

2023年4月1日
キオクシアホールディングス株式会社
代表取締役社長 早坂 伸夫

  • *4 健康投資:健康経営の考えに基づいた具体的な取り組みのこと。

健康経営の推進体制

キオクシアホールディングス株式会社およびキオクシア株式会社の代表取締役社長が健康経営推進体制の責任者を務めています。キオクシア株式会社では2023年、以下の図のように、経営トップから各階層、組織において、従業員の健康施策推進に関する役割を遂行できるように体制を再整備しました*5。同社の人事総務部の安全健康担当を事務局として、定例会で各拠点の健康支援センター(産業医・保健師)と活動方針や施策について検討するとともに、経営層が健康にかかわる課題に重点的に取り組むことをコミットし、会社・労働組合・健康保険組合で連携・協働しながら健康増進活動を推進しています。

今後、当社グループ各社へ健康経営の取り組みを展開していきます。

  • *5 現在、キオクシア株式会社にて、キオクシアホールディングス株式会社の健康経営も推進しています。

健康経営推進体制(キオクシアホールディングス株式会社およびキオクシア株式会社)

健康経営戦略マップの策定

キオクシアグループは、健康経営にかかわる課題および取り組む領域を明確にし、それらをふまえた施策を実施(健康投資)するとともに効果検証しながら、継続的にPDCAサイクルを回していくため、健康経営戦略マップを策定しました。

当社グループは、従業員の心身の健康増進およびパフォーマンス向上におけるワークエンゲージメントの重要性を認識し、健康施策を推進します。

従業員が健康で活き活きと長く働き続けられるように、戦略的に従業員の健康増進や働きやすく働きがいのある「健康文化の醸成」に取り組み、当社グループの持続的な企業価値向上につなげることを目指します。

健康経営戦略マップ*6

  • *6 キオクシアホールディングス株式会社およびキオクシア株式会社の健康経営戦略マップ。以下はこの戦略マップに基づいた両社の目標、取り組み、実績。

目標

「健康経営」の推進に向けて、3つの領域(1)生活習慣病などの疾病発生予防・重篤化予防、(2)ストレス関連疾患の予防、(3)職場の活性化の推進を目標に掲げています。

  1. ヘルスリテラシー*7向上による生活習慣の改善、生活習慣病などの疾病発生予防・重症化予防
  2. メンタル不調などのストレス関連疾患の予防
  3. ワークライフバランスの実現・ワークエンゲージメント向上による職場の活性化推進


これらの目標達成に向けて、2024年7月に中期的(2028年度)な目標値を設定しました。

  • *7 ヘルスリテラシー:健康情報を入手し、理解し、評価し、活用するための知識・意欲・能力のこと。

健康経営の実現に向けた取り組み

従業員が心身共に健康に働ける環境づくりに向けて、以下の取り組みを推進しています。
また事業場の独自施策も積極的に実施しています。
 

  • 高血圧・高血糖など生活習慣病重症化にかかわる健診結果に就業区分を設けることで、産業医の介入、保健師の相談により、欠勤・休職・私病による離職者低減に取り組んでいます。
  • メンタルヘルスについての相談窓口の設置と周知、ストレス関連疾患予防のためのさまざまな教育を展開しています。
  • 従業員のヘルスリテラシーの向上、メタボリックシンドローム(メタボ)の予防や改善に向けて、健康保険組合とコラボヘルス*8を進めています。
  • *8 コラボヘルス:企業と保険者との協働により、従業員・家族の疾病予防・健康づくりを実行すること。

取り組み事例

キオクシアホールディングス株式会社およびキオクシア株式会社における2023年度の主な取り組み事例をご紹介します。

健康づくりイベント 3食&3色もぐもぐ強化月間

実施時期:2023年10月16日~10月29日 参加人数:5,839名(参加率:64.1%)

キオクシア株式会社の四日市工場では、従業員が1日3食&3色の栄養バランスの良い食習慣を身に付け、生活習慣病予防につなげられるような取り組みを行っています。2023年10月は、強化月間として、従業員が社員食堂と共同で考案した旬の野菜をふんだんに使ったメニューを社員食堂で提供しました。また、血管年齢・血圧・体組成の測定や、1日に必要な野菜の摂取量(350g)を当てるクイズを出題し、ヘルスリテラシーの向上を図りました。いずれも好評を博し、回を重ねるごとに参加率は増加しています。

健康づくりイベントの参加率(%)
従業員と食堂によるコラボメニュー(左)健康イベントの様子(右)

歩け歩け大会

実施時期:2023年11月 参加人数:554名(満足度:98.7%)

キオクシア株式会社の四日市工場は、キオクシア労働組合四日市支部と恒例のウォーキングイベント「歩け歩け大会」を共催しました。自然豊かな東員町中部公園に2kmと5kmのコースが設定され、従業員は家族やチームメイトの体力に合わせて歩きました。ゴール後は、参加者に完歩証や昼食を提供しました。また、抽選会には、同工場長、労働組合委員長に加えて、心とからだの健康づくり(THP)委員会の委員長が参加し、景品を贈呈するなど盛り上げました。
「このようなイベントがないと、なかなか歩こう!という気持ちにならないので良い機会になった」「家族で楽しめて、公園も満喫できて充実した日になった。次回もぜひ参加したい」といった声が参加者から寄せられました。

歩け歩け大会の様子(左)完歩証(右)

女性の健康課題への施策

2023年度の参加人数

  • e-ラーニング:1,193名(受講率:98.5%)
  • セミナー:131名
  • 相談窓口の受付件数:47名

キオクシアホールディングス株式会社およびキオクシア株式会社では、女性特有のがんに関する基礎知識と健康診断の重要性、女性ホルモンの健康への影響に関する教育やセミナーを実施し、すべての年代の女性従業員の健康診断や医療機関の受診を促しました。
また、女性従業員が相談しやすいように、女性の婦人科医や保健師に健康相談できる窓口を開設しました。

女性の健康についてのe-ラーニングとセミナー

各指標の推移(実績値)

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指標 実績

目標

2021年度 2022年度 2023年度 2028年度
定期健康診断受診率 100% 100% 100% 100%
定期健康診断有所見率 33.2% 31.1% 31.9% 30.0%未満
定期健康診断後の精密検査受診率 39.4% 79.2% 100%
保健指導実施率 68.4% 100% 100%
メタボ該当者率(40歳以上) 20.6% 19.0% 20.2% 18.0%未満
適正体重維持率(BMI18.5以上~25未満) 61.0% 61.7% 62.6% 66.0%以上
運動習慣定着率(1日5,000歩以上) 35.5% 36.7% 44.4% 55.0%以上
睡眠により十分な休養が取れている割合 73.6% 75.2% 72.9% 80.0%以上
喫煙率 23.2% 20.8% 21.6% 18.5%未満
ストレスチェック受検率 96.8% 95.7% 97.2% 98.0%以上
高ストレス者率*9 4.8% 5.0% 4.4% 4.0%未満
1カ月以上のメンタル不調による休務者の割合 1.24% 1.29% 1.0%未満
アブセンティーズム*9 10.6% 9.2% 7.0%未満
プレゼンティーズム*9 85.7% 84.7% 86.0%以上
ワークエンゲージメント*9 2.45点 2.52点以上
ヘルスリテラシー*9 3.46点 3.48点 3.59点以上
仕事の満足度*9 2.23点 2.29点 2.20点未満

*9 指標の測定方法

  • 高ストレス者率:ストレスチェックによる高ストレスの割合(自社基準による)。
  • アブセンティーズム:病気や健康上の理由で8日以上休暇取得した割合。
  • プレゼンティーズム:病気やケガがないときに発揮できる仕事のパフォーマンスを100%としたときの過去4週間の仕事のパフォーマンスの自己評価。
  • ワークエンゲージメント:ストレスチェックの項目のうち「仕事をしていると、活力がみなぎるように感じる 」「自分の仕事に誇りを感じる」の各回答を得点化。そうだ:4点、まあそうだ:3点、ややちがう:2点、ちがう:1点として、2問の得点の平均値。
  • ヘルスリテラシー:Communicative and Critical Health Literacy(CCHL)尺度を用いた得点の平均値。
  • 仕事の満足度:ストレスチェックの項目のうち「仕事に満足だ」の回答を、そうだ:1点、まあそうだ:2点、やや違う:3点、違う:4点とした得点の平均値。

健康経営優良法人の認定

2024年3月に当社は、特に健康経営を積極的に実践している法人として、経済産業省と日本健康会議が選定する「健康経営優良法人(大規模法人部門)」の認定を受けました。

健康経営優良法人2024

その他の健康と安全の実績は以下(社会データ)をご覧ください。