キオクシアグループ サプライチェーン行動規範

RBA行動規範 バージョン7.0
初版
キオクシア株式会社 調達部 調達企画担当

はじめに

キオクシアグループ(以下、当社グループ)は、スマートフォン、サーバーをはじめ、多くの電子機器に不可欠な半導体メモリ及びSSDを市場に供給することで、世界中の人々の暮らしに利便性をもたらすとともに、産業や社会の発展に貢献しています。
当社グループが事業を拡大、最先端の技術を追求し、高性能かつ高品質な製品を製造してゆく為、調達部門は世界各国でグローバルな取引活動を推進しております。

当社グループは拡大したサプライチェーンにおける様々なCSRリスクにより的確な対応を行うため、ステークホルダーからの要請をふまえて、キオクシアグループとして、2021年よりResponsible Business Alliance(責任ある企業同盟:以下RBA)に加盟し、責任ある事業遂行に取り組んでおります。

また、当社グループは調達活動に関する指針として、RBAが定める行動規範を高く評価しております。そのため、当社グループはCSR調達に関する方針について、RBA行動規範を参照及び精査の上、「キオクシアグループサプライチェーン行動規範」に適用、当社グループの調達取引における行動規範として制定致します。

当社グループの調達取引先様におかれましては、「キオクシアグループサプライチェーン行動規範」の趣旨に沿った事業活動を推進頂くと共に、貴社のサプラチェーンに対しても「キオクシアグループサプライチェーン行動規範」の趣旨に沿った事業活動を推進頂きたくお願い致します。

< 改版履歴 >

日付

版数

文書名

2021.9.1

初版

キオクシアグループサプライチェーン行動規範
(RBA行動規範 バージョン7.0)

バージョン7.0(2021年)
レスポンシブル・ビジネス・アライアンス(RBA)行動規範

レスポンシブル・ビジネス・アライアンス(RBA、旧:電子業界CSRアライアンス(Electronic Industry Citizenship Coalition(EICC)))における行動規範は、電気電子機器(エレクトロニクス)産業またはそれらが主な部品である産業およびそのサプライチェーンにおいて、労働環境が安全であること、労働者が敬意と尊厳を持って処遇されること、さらにその事業活動が環境に対し責任を持ち倫理的に行われることを確実にするための基準を定めています。

本規範では、エレクトロニクス製品の製造に使用される部品やサービスの設計、販売、製造、またはそれらに供給を行う可能性のあるすべての組織をエレクトロニクス産業の一部とみなします。本規範は、エレクトロニクス分野のあらゆる事業者が自発的に採用することができます。そしてその結果、採用した事業者のサプライチェーンと下請業者(契約労働提供会社を含む)にも適用されます。

本規範を採用し参加者(「参加企業」)となるために、事業者は本規範の支持を宣言した上で、規範に記載された管理システムに基づき本規範とその基準への適合を積極的に追求しなければなりません。

参加企業は、本規範をサプライチェーン全体のイニシアチブ(先進的で共通の取り組み)とみなさなければなりません。そして参加企業は少なくとも一次取引先に対し本規範の認識と実施を要請しなければなりません。

本規範採用の大原則として、事業者はすべての事業活動において、その事業を行う国の法律、規則および規制を完全に遵守しなければならないと理解します。さらに、本規範はすべての参加企業が法令遵守だけでなく、社会・環境面の責任およびビジネス倫理を促進するため、国際的に認知された基準を利用することも推奨します。いかなる場合においても、本規範の遵守のために現地法に違反することがあってはなりません。しかし、RBA規範と現地法の間で基準が異なる場合は、最も厳しい要求事項を満たすことをRBAは適合と定義します。本規範の規定は、国連のビジネスと人権に関する指導原則に則り、労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言ならびに国連世界人権宣言を含む国際的に認知された基準に由来し、これらを尊重しています。

RBAは、行動規範の継続的な進化および実施において、ステークホルダー(利害関係者)から定期的に意見を取り入れます。

本規範は5つのセクションで構成されています。セクションA、B、およびCでは、それぞれ労働、安全衛生、および環境に関する基準を説明しています。加えてセクションDでは、ビジネス倫理に関する基準を示しています。セクションEでは、本規範の遵守を管理するための適切なシステムについて説明しています。

A. 労働

参加企業は労働者の人権を支持し、国際社会から理解されるよう、尊厳と敬意をもって彼らに接することにコミットします。これは、臨時社員、移民労働者、学生、契約社員、直接雇用者、およびその他の就労形態の労働者を含む、すべての労働者に適用されます。本規範の策定にあたっては、参考資料に記載されている基準を参照しており、そこから役に立つ追加情報が得られる可能性があります。

労働基準は以下のとおりです。

1) 雇用の自由選択

強制、拘束(債務による拘束を含む)または拘留労働、非自発的または搾取的囚人労働、奴隷労働または人身売買は認められません。これには、労働またはサービスのために脅迫、強制、強要、拉致または詐欺によって人を移送、隠匿、採用、移動すること、またはその受け入れを含みます。会社が提供する施設(該当する施設には、労働者の寮や住居を含みます)への出入りに不合理な制約を与えたり、施設における労働者の自由な移動に不合理な制約を課したりしてはなりません。雇用プロセスの一環として、すべての労働者に雇用条件を含む母国語で記述された雇用契約書が提供されなければなりません。外国人移民労働者は、労働者が母国を離れる前に雇用契約書を必ず受け取り、受け入れ国に到着した時点での雇用契約の代替や変更は、現地法を満たすため、かつ元の契約の同等以上の条件を提供する変更以外は認められません。すべての労働は自発的でなくてはならず、労働者が契約通りに妥当な通知を行っている場合、労働者は違約金の支払いや罰を受けることなく、仕事を休んだり雇用関係を終了したりする自由があります。雇用者、人材斡旋業者、およびその委託先業者は、政府発行の身分証明書、パスポートまたは労働許可証など、身分証明書または移民関連文書を保持したり、それらを破棄、隠匿、没収したりしてはなりません。雇用者は、これらの保持が法律で定められている場合にのみ文書を保持することができます。そのような場合も、労働者が常にそれらの文書の取り扱いが可能であるようにしなければなりません。雇用者の人材斡旋業者またはその委託先業者の就職斡旋手数料、または雇用に関わるその他の手数料について、労働者がそれらを支払う必要があってはなりません。労働者がこうした雇用に関連する費用を支払ったことが判明した場合は、その費用は当該労働者に返金されなければなりません。

2) 若年労働者

児童労働はいかなる製造段階においても使用してはなりません。ここでいう「児童」とは、15歳または義務教育を修了する年齢、または国の雇用最低年齢の内、いずれか最も高い年齢に満たない者を指します。参加企業は、労働者の年齢を確認する適切な仕組みを持たなければなりません。正当な職場学習プログラムの実施は、すべての法規制が遵守されている限り支援されます。18歳未満の労働者(若年労働者)を夜勤や時間外労働を含む、健康や安全が危険にさらされる可能性がある業務に従事させてはなりません。参加企業は、学生労働者の記録の適切な維持、教育パートナーの厳格なデューディリジェンス、および学生労働者の権利の保護により、適用される法規制に従った学生労働者の適切な管理を確実にしなければなりません。参加企業は、すべての学生労働者に適切な支援と教育訓練を提供しなければなりません。現地法がない場合、学生労働者、インターンおよび見習いの賃率は、同様または類似の労働を行っている他の新人労働者と少なくとも同じものでなくてはなりません。児童労働が判明した場合には、対象児童に支援/救済措置を提供します。

3) 労働時間

ビジネス慣行に関する数々の研究によると、労働者の過労は生産性の低下、離職の増加、怪我および疾病の増加と明確なつながりがあるとされます。労働時間は現地法で定められている限度を超えてはなりません。さらに、週間労働時間は、緊急時や非常時を除き、時間外労働を含めて60時間を超えてはなりません。すべての時間外労働は自発的なものでなければなりません。労働者は7日間に1日以上の休暇の取得が認められなければなりません。

4) 賃金および福利厚生

労働者に支払われる報酬は、最低賃金、時間外労働および法的に義務付けられている福利厚生に関連する法律を含め、適用される賃金に関するすべての法律を遵守しなければなりません。現地法を遵守し、労働者には時間外労働に対して通常の時給より高い賃率で支払われなければなりません。懲戒処分としての賃金の控除は認められません。労働者が各支払期間に実施した業務に対する正確な報酬を確認するために十分な情報が記載された、わかりやすい給与明細書が適切な時期に労働者に提供されなければなりません。臨時、派遣および外部委託の労働者の使用はすべて現地法の制限内とします。

5) 人道的待遇

労働者に対する暴力、ジェンダーに基づく暴力、セクシャルハラスメント、性的虐待、体罰、精神的もしくは肉体的な抑圧、いじめ、公の場での侮辱やみせしめ・晒し、または言葉による虐待などの不快なまたは非人道的な待遇があってはならず、またこのような待遇の恐れがあってはなりません。これらの要求事項に対応した懲戒方針および手続きは、明確に定義され労働者に伝えられなければなりません。

6) 差別/ハラスメントの排除

参加企業は、ハラスメントおよび非合法な差別のない職場づくりに取り組まなければなりません。会社は賃金、昇進、報酬および教育訓練の機会などの採用や雇用実務において、人種、肌の色、年齢、性別、性的指向、性同一性と性表現、民族または国籍、障害の有無、妊娠、宗教、所属政党、所属組合、軍役経験の有無、保護された遺伝情報、または配偶者の有無に基づく差別またはハラスメントを行ってはなりません。労働者には宗教上の慣行に対して合理的な便宜が図られなければなりません。さらに、労働者または労働者として雇用見込みの者に差別的に使用される可能性がある妊娠検査や処女検査を含む医療検査または身体検査を受けさせてはなりません。これは、ILO差別待遇(雇用および職業)条約(No.111)をふまえたものです。

7) 結社の自由

現地法に従い、参加企業は、すべての労働者の自らの意思による労働組合結成・参加、団体交渉、平和的集会への参加の権利を尊重するとともに、それらを差し控える労働者の権利も尊重しなければなりません。労働者および/または彼らの代表者は、差別、報復、脅迫、またはハラスメントを恐れることなく、労働条件および経営慣行に関する意見および懸念について経営陣と率直に意思疎通を図り、共有できなければなりません。

B. 安全衛生

参加企業は、安全で衛生的な作業環境が、業務上の怪我や病気の発生を最小化することに加えて、製品およびサービスの品質、製造の均一性、ならびに労働者の定着および勤労意欲を向上させることを認識します。参加企業は、職場での安全衛生の問題を特定および解決するために、継続的な労働者への情報と教育が不可欠であることも認識します。

本規範の策定にあたっては、ISO 45001やILO労働安全衛生マネジメントシステムガイドラインなどの認知された管理システムを参照しており、そこから役に立つ追加情報が得られる可能性があります。

安全衛生基準は以下のとおりです。

1) 職務上の安全

労働者の潜在的な安全衛生上の危険源(化学物質、電気およびその他のエネルギー源、火災、車両、および墜落の危険源)に対する曝露は、特定、評価され、さらにヒエラルキーコントロールを用いて軽減されなければなりません。これには、危険源の除去、プロセスや材料の代替、適切な設計による制御、工学的および管理的対策の実施、予防保全、および安全作業手順(ロックアウト/タグアウトを含む)の実施、および継続的な労働安全衛生に関する教育訓練の提供が含まれます。これらの手段により、危険源を適切に管理することができない場合、労働者には適切で正しく維持管理された個人保護具、およびこれらの危険源に関連するリスクに関する教材が提供されなければなりません。妊娠中の女性・育児中の母親に対して高い危険源のある労働環境からの配置転換や、妊娠中の女性および育児中の母親に対する業務分担関連を含む労働安全衛生上のリスクの除去または軽減、および育児中の母親に対する合理的な便宜の提供など、妥当な措置を講じなければなりません。

2) 緊急時への備え

潜在的な緊急事態や非常事態を、特定、評価し、緊急の報告、従業員への通知および避難手順、労働者の教育訓練を含む、緊急計画および対応手順の実施により、その影響を最小限に抑えなければなりません。防災訓練は、少なくとも年に1度、または現地法の要求、いずれかのより厳しい方法で実施しなければなりません。緊急対策には、適切な火災報知器および消火設備、わかりやすく障害物のない出口、適切な非常口のある施設、緊急対応にあたる人員の連絡先情報、および復旧計画なども含まれます。このような対策および手順は、生命、環境、および財産への損害を最小化することに重点を置かなければなりません。

3) 労働災害および疾病

労働災害および疾病を防止、管理、追跡、および報告する手順および仕組みが運用されなければなりません。これには、労働者からの報告の奨励、労働災害および疾病事例の分類および記録、必要な治療の提供、事例の詳細な調査、および原因除去のための是正措置の実施、ならびに労働者の職場復帰を促進するための規定が含まれなければなりません。

4) 産業衛生

労働者の化学的、生物学的、物理的薬剤への曝露は、ヒエラルキーコントロールに基づいて特定、評価、管理されなければなりません。潜在的な危険源が特定された場合は、参加企業はその潜在的危険源を除去また軽減する機会を模索しなければなりません。その危険源の除去または軽減が実行可能でない場合は、潜在的な危険源は、適切な設計、工学的および運営的管理の実施によって制御されなければなりません。このような手段により、危険源を適切に管理することができない場合、労働者には適切で正しく維持管理された個人保護具が無料で提供され、これが使用されなければなりません。保護プログラムは継続的に実施され、これらの危険源に関わるリスクについての教材を含まなければなりません。

5) 身体に負荷のかかる作業

人力による原材料の取り扱いや重量物のまたは反復的な持ち上げ、長時間の立ち作業、および極度に反復の多い、または力の要る組み立て作業など、労働者の身体に負荷のかかる作業の危険源への曝露は、特定、評価、管理されなければなりません。

6) 機械の安全対策

生産機械およびその他の機械は、安全上の危険源が評価されなければなりません。機械により労働者が怪我をする危険源がある場合、物理的な保護、インターロック、障壁を設置し、適切に保守管理しなければなりません。

7) 衛生設備、食事、および住居

労働者は、清潔なトイレ施設、飲料水の利用、および衛生的な食品の調理、保存、および食事のための施設を提供されなければなりません。参加企業または人材斡旋業者が提供する労働者の寮は、清潔かつ安全に維持され、適切な緊急時の非常口、入浴およびシャワーのための温水、適切な照明、暖房、換気、個人的な所有物および貴重品を保管するための個別に確保された施設、および適切に出入りできる妥当な広さの個人スペースを提供しなければなりません。

8) 安全衛生のコミュニケーション

参加企業は、労働者の母国語または理解できる言語で、労働者が曝露することになるあらゆる特定される職場の危険源(機械、電気、化学物質、火災、および物理的危険源を含みますがこれに限定されません)について、適切な職場の安全衛生情報と教育訓練を労働者に提供しなければなりません。安全衛生関連の情報は、施設内に明確に掲示するか、労働者が確認、アクセスできる場所に表示しなければなりません。すべての労働者対し、作業の開始前に、それ以降は定期的に教育訓練が提供されます。労働者は、報復されることなく安全衛生の懸念を提起するよう奨励されなければなりません。

C. 環境

参加企業は、環境に対する責任が世界水準の製品の製造に不可欠であることを認識します。参加企業は、公衆の安全衛生を守りながら、製造活動において、環境への影響を特定するとともに、地域社会、環境、および天然資源への有害事象を最小限に抑えなければなりません。本規範の策定にあたっては、ISO 14001や環境管理・監査システム(Eco Management and Audit System、EMAS)などの認知された管理システムを参照しており、そこから役に立つ追加情報が得られる可能性があります。

環境基準は以下のとおりです。

1) 環境許可と報告

必要とされるすべての環境許可証(例:排出のモニタリング)、認可書、および登録書を取得・維持し、最新の状態に保ち、その運用および報告に関する要求事項を遵守しなくてはなりません。

2) 汚染防止と資源削減

汚染物質の排出、および廃棄物の発生は発生源、もしくは汚染除去装置の追加、生産・メンテナンス・設備に関わるプロセスの変更、あるいは他の手段などの施策によって、最小限に抑えられるか除去される必要があります。水、化石燃料、鉱物、原生林産物などの天然資源に関しては、生産、メンテナンス、設備に関わるプロセスの変更、物質の代替、再利用、保全、リサイクルその他手段などを実践することで、その使用を抑えなければなりません。

3) 有害物質

人体や環境に対して危険をもたらす化学物質、廃棄物、およびその他の物質は、特定、表示、および管理され、安全な取り扱い、移動、保存、使用、リサイクルまたは再利用、および廃棄を確実にしなければなりません。

4) 固形廃棄物

参加企業は、固形廃棄物(有害物以外)の特定、管理、削減、および責任をもって廃棄またはリサイクルを行う体系的なアプローチを実施しなければなりません。

5) 大気への排出

操業中に発生する揮発性有機化合物(VOC)、エアロゾル、腐食性物質、微粒子、オゾン層破壊物質、および燃焼副生成物の大気への排出は、特性化、定期的監視、制御され、排出される前に必要な処理を実施しなければなりません。オゾン層破壊物質は、モントリオール議定書および適用される規制に従い、効果的に管理されなければなりません。参加企業は、大気排出管理システムの動作を定期的に監視しなければなりません。

6) 物質の制限

参加企業は、特定の物質の製品中および製造での禁止または制限に関し、リサイクルおよび廃棄物の表示に関するラベリングを含め、すべての適用される法律、規制、および顧客要求事項を遵守しなければなりません。

7) 水の管理

参加企業は、水源、水の使用・排出を文書化、特性化、監視するほか、節水機会を探し、汚染経路を制御する水の管理プログラムを実施しなければなりません。あらゆる廃水は特性化、監視、制御され、排出または廃棄する前に必要な処理を実施しなければなりません。参加企業は、廃水処理システムと水槽・タンクの動作を定期的に監視し、最適な動作と規制の遵守を確保しなければなりません。

8) エネルギー消費および温室効果ガスの排出

参加企業は全社規模の温室効果ガス削減目標を設定しなければなりません。エネルギー消費およびすべての関連するスコープ1および2の温室効果ガスの排出は、追跡、文書化し、温室効果ガス排出削減目標との比較を外部公表されなければなりません。参加企業は、エネルギー効率を改善し、エネルギー消費および温室効果ガスの排出を最小化する方法を追求しなければなりません。

D. 倫理

社会的責任を果たし、市場での成功を達成するために、参加企業およびその委託業者は、以下を含む最高基準の倫理を支持しなければなりません。

1) ビジネスインテグリティ

すべてのビジネス上のやりとりで最高基準のインテグリティ(誠実性)が維持されなければなりません。参加企業は、あらゆる種類の贈収賄、腐敗行為、恐喝、および横領を一切許容しないゼロトレランスの方針を保持しなければなりません。

2) 不適切な利益の排除

賄賂またはその他の不当もしくは不適切な利益を得るための手段を、約束、申し出、許可、提供、または受領してはなりません。この禁止事項は、ビジネスを獲得または保持したり、ビジネスを何者かに割り当てたり、その他不適切な利益を得るために、第三者を通して、直接的または間接的に価値のあるものを約束、申し出、許可、提供、または受領することが含まれます。腐敗防止法令の遵守を確実にするために、監視、記録保存、および施行手順が実施されなければなりません。

3) 情報の開示

すべての商取引は、透明性をもって実施され、参加企業の会計帳簿や記録に正確に反映される必要があります。参加企業の労働、安全衛生、環境活動、ビジネス活動、企業構造、財務状況、および業績に関する情報は、適用される規則と一般的な業界慣行に従って、開示されなければなりません。記録の改ざんやサプライチェーンにおける状況または慣行の虚偽表示は容認されません。

4) 知的財産

知的財産権を尊重し、技術やノウハウの移転は知的財産権が守られた形で実施するとともに、顧客およびサプライヤーの情報を保護しなければなりません。

5) 公正なビジネス、広告、および競争

公正なビジネス、広告、および競争の基準が支持されなければなりません。

6) 身元の保護と報復の禁止

法律により禁止されていない限り、サプライヤーおよび従業員の内部告発者の守秘、匿名性、および保護を確実にするプログラムが維持されなければなりません。参加企業は、それらの内部告発者が報復の恐れなしに懸念を提起できるプロセスを伝達し、保持する必要があります。

7) 責任ある鉱物調達

参加企業は、自社が製造する製品に含まれるタンタル、錫、タングステン、および金の採掘源および管理の連鎖に関し、これらの鉱物が、経済協力開発機構(OECD)紛争地域および高リスク地域からの鉱物の責任あるサプライチェーンのためのデュー・ディリジェンス・ガイダンス、または同等で認められたデューディリジェンスフレームワークに沿った方法で入手されていることを合理的に保証するための方針を採用し、デューディリジェンスを実施しなければなりません。

8) プライバシー

参加企業は、サプライヤー、顧客、消費者、および従業員など、取引を行うすべての人の個人情報に関係するプライバシーへの合理的な期待に添うようコミットしなければなりません。参加企業は、個人情報の収集、保存、処理、移転、および共有を行う場合、プライバシーおよび情報セキュリティに関する法規制の要求事項を遵守しなければなりません。

E. 管理システム

参加企業は、本規範の内容に関連する範囲で管理システムを採用または構築しなければなりません。管理システムは以下を確保することを目的としなければなりません:(a)参加企業の業務および製品に関連する適用法、規制および顧客要求事項の遵守、(b)本規範への適合、および(c)本規範に関連した運用リスクの特定と軽減。また管理システムによって継続的改善を促進します。

管理システムには以下が含まれていなければなりません。

1) 企業のコミットメント

経営層が承認し、現地の言語で施設内に掲示されたコンプライアンスおよび継続的改善への参加企業のコミットメントを確認する、企業の社会・環境責任に関する方針の記述。

2) 経営者の説明責任と責任

参加企業は、管理システムと関連プログラムの確実な実施を担当する経営層および会社における責任者を明確に特定します。経営層は定期的に管理システムの状態をレビューします。

3) 法的および顧客の要求事項

本規範の要求事項を含み、適用される法規制および顧客要求事項を特定、監視、理解するプロセス。

4) リスク評価とリスク管理

法令遵守、環境、安全衛生および参加企業の業務に関連する労働慣行および倫理リスクを特定するプロセス。特定されたリスクを管理し規制の遵守を確保するため、各リスクの相対的な重要性を決定し適切な手順による管理および物理的制御を実施します。

5) 改善目標

参加企業の社会、環境、安全衛生のパフォーマンスを改善するための明文化された目標、ターゲットおよび実施計画。また、このような目標達成に対する参加企業のパフォーマンスに関する定期的な評価を含みます。

6) トレーニング

管理職および労働者が参加企業の方針、手続きおよび改善目標を実施し、適用される法規制の要求事項を満たすための教育訓練プログラム。

7) コミュケーション

参加企業の方針、実践、期待およびパフォーマンスに関する明確で正確な情報を、労働者、サプライヤーおよび顧客に伝達するためのプロセス。

8) 労働者のフィードバック、参加、苦情

本規範の対象となる慣行および条件に関して、労働者の理解度を評価し意見や違反事例を把握した上で、継続的改善を促進するための効果的な苦情処理メカニズムを含む継続的なプロセス。労働者は報復や仕返しを恐れることなく苦情およびフィードバックを提供できる安全な環境が与えられなければなりません。

9) 監査および評価

法規制の要求事項、本規範の内容および社会的、環境的責任に関連する顧客の契約上の要求事項に対する適合を確保するための定期的な自己評価。

10) 是正措置プロセス

社内外の評価、点検、調査および審査によって特定された不備に対する適時の是正プロセス。

11) 文書化と記録

規制の遵守、会社の要求事項への適合およびプライバシーを保護するための適切な機密性を確保するための文書および記録の作成と維持。

12) サプライヤーの責任

本規範の要求事項をサプライヤーに伝達し、サプライヤーの本規範への遵守を監視するためのプロセス。